所得制限はある?障害年金をまるごと説明

現在、身体障碍者や知的障碍者、精神障碍者に対するセーフティネットとして障害年金が支給されています。その障害年金は、労働基準法の障害補償が由来である労働者災害補償保険法の障害補償年金と社会保険の一種である国民年金や厚生年金が由来である障害基礎年金や障害厚生年金に分けられます。

では、所得制限の存在など障害年金の気になる点も含め、障害年金について説明します。


労働者災害補償保険法の障害補償年金について

労災で認定される障害年金として、障害補償年金があります。もともとは、労働基準法で事業主の責任として、事業で障碍を負った労働者に障害補償を給付することが定められていました。その障害補償を事業主が国家が運営する保険に加入することで、保険事故が生じたときに国が支払ってくれるようにしたのが障害補償年金のあらましです。

また、障碍の規模によっては一時金になることもある点も注意が必要だといえます。労災には障害補償給付の前に傷病補償年金が給付されますが、その傷病の症状が固定化した時など「治癒」したと判断された時に障害補償給付に切り替わります。

そのため、障害補償年金は後に紹介する障害基礎年金や障害厚生年金とは、異なる性質のものだと考えた方が良いでしょう。

社会保険由来の障害年金の種類

社会保険由来の障害年金には、国民年金法で定める障害基礎年金と厚生年金保険法で定める障害厚生年金があります。その両者の共通点は、障害という保険事故が発生したとき(20歳前傷病による障害を除く)、被保険者である社会保険加入者が障害年金を受け取れる点です。

一方、その両者の異なる点としては、障害基礎年金は障害等級の1級と2級しかもらえないのに対し、障害厚生年金は障害等級3級も対象になる点です。また、障害基礎年金と障害厚生年金は両方の要件に該当した場合、併給することが可能です。

また、障害基礎年金と老齢厚生年金(一定の年齢からもらえる年金)を併給することができる場合もあります。

障害年金と所得制限について

では、障害年金に所得制限があるという話は本当なのか説明します。実のところ、障害年金にも場合によっては所得制限があると判断され得るのが真実です。しかし、その要件は20歳前傷病による障害の時にのみ適用されます。

障害年金には様々な受給要件があり、一般的な障害認定の他に事後重症や基準障害によるもの、20歳前傷病による障害のものがあります。その中で、20歳前に障害要件を満たしている人のみ、保険料を今まで納めていないことを理由に障害年金に所得制限を設ける形になっています。

ただ、その所得制限の要件は比較的緩く、生活に余裕があると認められるほどの収入ではない限り障害年金は全額または半額支給されます。また、所得制限による支給の制限は支給停止という形をとっているため、支給停止が解除されれば以前と同じように受給される点も重要です。

障害等級の認定について

障害等級には重い順に1級、2級、3級などと振り分けられています。障害年金には3級までしかないですが、厚生年金保険法上の一時金などはそれ以下の障害等級でも支払われます。障害等級は、2級が老齢に匹敵する保険事故の基準だと考えていれば分かりやすいです。

2級よりも重い1級は、2級の障害年金よりも多い額が支給され(4分の5)、2級よりも軽い3級(障害厚生年金のみ)は、2級の障害年金よりも少ない額(4分の3)が支給されます。

2級の年金額が、老齢の基礎年金及び厚生年金の額と同等(しかし、障害厚生年金には300ヶ月加入していない人でも300ヶ月分の保険期間があるとみなされる)なので、それを基準に1級や3級が設定されています。

また、見落とされがちですが障害基礎年金でも3級相当になったときは、支給停止になるのみで受給権が無くなるわけではないことも重要です。

障害年金の受給権が得られる要件

社会保険由来の障害年金の受給権は、障害基礎年金の受給権を得られるかどうかが基準になるため、国民年金法上の要件を説明します。まず、初診日に被保険者であったことが認められるかどうかという初診日要件があります。

また、初診日に保険料を一定の期間(全期間の3分の2もしくは初診日以前の1年間)納めてきたかという保険料納付要件も存在します。そして、初診日から1年6か月後に障害等級に該当する障害を有しているかという障害認定日要件があります。

その3つの要件をそろえていれば、障害基礎年金は受給できるといえます。また、その要件を微妙に満たしていなくても、事後重症や基準障害、20歳前傷病による障害などの要件を満たしていれば受給権が得られるという制度も受け皿として存在しています。

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遡及請求が認められる場合も

障害年金が受給できる状態に該当していたにもかかわらず、年金制度を知らずに請求していなかった場合、時効が訪れる5年を限度に遡及請求が認められる場合があります。遡及とは、「さかのぼる」という意味であり、最大5年分の障害年金を後から請求できる制度だといえます。

5年分の年金は、障害基礎年金の2級だけでも約390万円に該当するなど、決して見過ごせない額だといえます。

では、どのような受給要件の障害年金でも遡及請求は認められるのでしょうか。実際は、一般的な要件の障害年金の他では、基準障害による障害年金の場合しか認められません。つまり、事後重症と20歳前傷病による障害年金は遡及請求の範囲外になる点が注目です。

それは、障害年金の請求者が診断書を書いてもらうときなどで、気をつける点だともいえます。

障害年金の診断書の性質について

障害年金は、審査が厳しいと一般的に言われています。そのため、診断書や請求者の経歴を記載する用紙には、社会保険労務士と医師が連携して記載することがお勧めです。また、請求者の家族が客観的にどのような障碍であるかを記載することも必要だといえます。

特に、診断書では医師が社会保険制度を理解していないと、診断書で申請者に不利になることを書いてしまうことがあります。例えば、診断書に「予後不良」と書くべきところを、「改善の余地あり」と書いてしまうと社会保険の審査には通りにくくなります。

それだけ診断書は、障害認定にとって重要なファクターを占めているといえます。障害認定で不利益を受けないために、社会保険労務士と医師が協力する体制ができているか、もしくは医師が社会保険を理解しているかが障害年金の申請人にとって重要になります。

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